あなたの思考は偏っていない?SNSのバイアスをリセットする方法

私たちは日々、たくさんの情報に触れ、無意識のうちに多くの決断を下し、情報を取捨選択しています。

情報を取捨選択する中で、どの選択が自分にとって最適で、正しい判断なのかを意識的に選んでいる人は少ないかもしれません。

実は、私たちの思考は多くのバイアス(偏り)に影響されているのです。

例えば、心理学でよく聞く「認知的不協和」や「確証バイアス」といったものが、私たちの行動や判断に大きな影響を与えることがあります。

今回は、これらの心理的な偏りが私たちの思考をどのように歪め、偏った判断に導くのか、そしてその思考をどうリセットできるのかについて一緒に考えてみたいと思います。

認知的不協和とは?

認知的不協和は、私たちが自分の信念や価値観と、行動や新しい情報との間に矛盾を感じたときに生じる心理的な不快感のことです。

この不快感を解消しようと、私たちは無意識に自分の信念を正当化する方向に考えを進めたり、矛盾する情報を無視することがよくあります。

認知的不協和の例:

  • 高価な商品を購入した後で、それを買う必要がなかったことに気づいたとき、その商品が「本当に必要だと思って買ったけれど、後で考えると無駄だった」と認識している一方で、「でも、これがあれば生活が楽になるかもしれない」と自分を納得させ、購入を正当化する。
  • 喫煙者が自分の健康に悪影響を与えることを知っているにもかかわらず、タバコを吸い続けている場合、「タバコを吸っているのに健康に悪影響があることは分かっている」と認めつつ、「ストレス解消になるし、他に方法がない」と言い訳をして、健康リスクを受け入れる。
  • 親が子供に対して過度に厳しく接してしまった場合、後でその行動を反省し、「もっと優しく接すべきだった」と感じるが、親として「子供のために厳しくすることが重要だ」と自分を納得させ、その行動を正当化する。

確証バイアスとは?

確証バイアスとは、自分の信念や意見を支持する情報ばかりを探し、反対の意見や情報を無視してしまう心理的傾向のことです。

このバイアスは、日常的に私たちの思考に影響を与え、時には誤った結論を導く原因となります。

確証バイアスの例:

  • 健康やダイエットに関して、自分が信じている方法に合った成功事例ばかりを集め、他の方法や失敗事例を無視する。
  • 自分が購入した商品やサービスについて、ポジティブなレビューや体験談ばかりを探し、ネガティブな意見や批判的なレビューを無視し、購入の決断を正当化して、後悔を避けようとする。
  • 自分が応援しているスポーツチームの勝利や好成績に関する情報ばかりを探し、チームが負けた時の理由や批判的な意見を避け、チームへの忠誠心や応援を正当化する。

認知的不協和と確証バイアスの関係

認知的不協和は、自分の信念や価値観と、実際の行動や新しい情報との間に矛盾を感じたときに生じる不快感です。

たとえば、「健康に気をつけている」と自分では思っているのに、ジャンクフードを食べてしまった場合、その矛盾に不快感を感じます。この不快感を解消するために、私たちは無意識にその矛盾を和らげる方法を探し始めます。

このとき、確証バイアスが働きます。確証バイアスは、自分が信じていることを強化する情報ばかりを集め、反対の意見や情報を無視してしまう心理的な傾向です。

具体的に言うと、健康に気を使っていると信じている人がジャンクフードを食べたとき、その矛盾した状況に不快感を感じますが、その不快感を解消するために「たまには好きなものを食べても問題ない」と自分を納得させます。このとき、「健康に悪い食べ物を避けるべきだ」といった情報を無視して、自分の信念に合った言い訳を探してしまうわけです。

つまり、認知的不協和が生まれると、それを解消するために私たちは確証バイアスを使って、自分の信念を強化する情報だけを意識的に探し、矛盾する情報を避けるようになります。

確証バイアスが生まれる原因

確証バイアスは、私たちが物事を素早く判断できるように、無意識のうちに働きます。

私たちの脳は、日々たくさんの情報を処理し、判断を下さなければならないため、できるだけ効率よく、エネルギーを使わずに決められるように働きます。

このため、反対の意見や情報をわざと避け、自分の信念に合った情報を優先的に探してしまうことが多いのです。

つまり、脳は「自分が信じていることが正しい」と確認することで安心感を得るため、都合の良い情報を集める傾向があるのです。

  • 認知の省力化:新しい情報を評価する際に反証するためにエネルギーを使いたくないため、自分の信念に合う情報を優先する。
  • 自己肯定感:自分の信念や選択を正当化したいという心理が働き、信じていることが正しいと確認することで安心感を得ようとする。

SNSで広がるバイアス

確証バイアスや認知的不協和は、私たちの思考を無意識に偏らせ、誤った判断を下す原因となります。

ここで、さらに思考に影響を与える現象として、エコーチェンバー現象があります。

エコーチェンバー現象とは、SNSなどで自分と同じような価値観や考え方の意見ばかりに触れるようになる結果、自分の考えは「正しい」「多数派の意見だ」と信じてしまうことです。

SNSでは、同じ価値観を持つ人々とフォローし合うことで、反対意見や異なる視点が排除されやすくなり、その結果、ますます偏った情報に囲まれていきます。

これにより、確証バイアスが強化され、偏った認識を深める原因となるのです。

エコーチェンバー現象を避けるためには、意識的に異なる意見にも耳を傾け、自分の思考が偏らないよう意識し、バランスの取れた視点を保つことが大切です。

さらに、エコーチェンバー現象と密接に関連しているのがフィルターバブルという現象です。

フィルターバブルは、私たちがオンラインで接する情報がアルゴリズムによって個別に調整され、特定の価値観や意見に偏る現象です。

SNSや検索エンジン、ニュースアプリなどは、私たちの過去の行動(クリック履歴やいいね)をもとに、私たちが興味を持ちやすい情報を優先的に表示します。

結果的に、自分が既に知っていることや信じていることに関連する情報ばかりが繰り返し表示され、反対意見や異なる視点に触れる機会が少なくなります

この情報の偏りが強化されると、私たちの視野が狭まり、情報の多様性が失われていきます。

フィルターバブルが広がることで、確証バイアスを強化し、エコーチェンバー現象と絡み合って自分の意見を繰り返し確認することになります。

そして、エコーチェンバーフィルターバブルが引き起こす情報の偏りがさらに強化される現象が、サイバーカスケードです。

サイバーカスケードとは、ネット上である意見や情報が急速に広がり、その拡散がさらに加速する現象です。

特にSNSやインターネット掲示板、ブログなどでは、特定の意見やトピックが注目を浴び、繰り返しシェアされることで、その意見や事実が強化されます

最初は小さな誤情報や偏った意見であっても、時間と共にその情報が広まり、支持を集め、最終的にはその意見が「多数派の意見」として広がり、どんどん大きな影響を持つようになります。

サイバーカスケードは、確証バイアスやフィルターバブル、エコーチェンバーといった偏った情報環境を強化し、より偏った認識を広める原因となります。

確証バイアスから抜け出す方法

確証バイアスは脳の構造や人間の心理に基づくものであるため、完全に避けることは難しいですが、偏り過ぎないように意識を保つことは重要です。

確証バイアスや認知的不協和に陥っているとき、私たちは自分の思考が偏っていることに気づかないことが多いです。

そのためにも日々、思考をリセットする時間を作ることが大切です。

そのためには、心を穏やかにし、冷静さを取り戻すことが必要です。

リセットの方法のひとつとして、自然に触れることがあります。

山や森林の中で過ごすと、嫌なことをすっかり忘れて、清々しい気持ちになったことはありませんか?

自然の空気は私たちの意識をニュートラルな状態に引き戻し、ピュアな心を取り戻させてくれます。

自然の中に身を置くことで、心が静まり、感覚が研ぎ澄まされるのを感じることができます。

とはいえ、日常生活では自然の中に身を置く時間が限られていますよね。

そんなとき、キャンドルの炎をじっと見つめる「トラタカ瞑想」を取り入れたり、精油の香りを感じることも効果的です。

キャンドルや精油は、手軽に自然の力を感じることができ、思考をニュートラルな状態に戻してくれるアイテムです。

「トラタカ瞑想」については、こちらの記事で少し触れています。

自然の力を最大限に活用するために大切なこと

植物の香りには、集中力を高めて思考をクリアにしたり、心を穏やかにしてニュートラルな状態に導いてくれるものがあります。

これにより、確証バイアスや認知的不協和による偏った思考をリセットし、冷静でバランスの取れた判断が促されます。

精油は天然100%の高品質なものでなければ、その効果を十分に発揮できません

残念ながら、日本で市販されている精油の中には、溶剤や合成香料を混ぜたり、エタノールで希釈されていることが多いと言われています。

この場合、心身に与える影響が限定的になり、精油本来の効果を得ることが難しくなります。

こうした精油の偽装を「偽和(ぎわ)」と言いますが、偽和についての詳細はこちらの記事をご覧ください。

精油は信頼できるアロマテラピー専門店で購入することをおすすめします

ニュートラルな状態を保った結果

常に意識をニュートラルな状態に保つことができるようになった結果、最終的にたどり着くのは何に対しても100%信じないという考え方だと思います。

これは、たとえ自分が信頼している人や物であっても、「過信や妄信をしない」という意識に行きつくということです。

自分が大切にしている人や物であっても、完璧に信じることはせず、常に一歩引いた視点を保つことが重要だと感じます。

また、意見が対立した場合、反対意見を敵視しがちですが、意見を肯定する人々の中にも見逃しがちな注意点が隠れていることがあります。

時には、反対意見を持つ人が、味方のふりをして肯定的な意見の中に意図的に誤った情報を混ぜ、信ぴょう性を損なわせることもあります。

このような隠れた嘘に簡単に騙されないためにも、100%信じないという視点を持ち続けることも大切だと考えます。

人間は変化する生き物

私たちは日々、さまざまな選択をし続けていますが、脳の構造上、どうしても偏った思考をしてしまうことがあります。

これは誰にでも起こり得ることであり、「自分だけは絶対にそんなことはない」と思い込むのは危険です。

人間は変化し続ける生き物であるため、自分の選択に固執し続けない意識を持ち、「考えが変わりました!」と言える勇気を持つことが大切です。

さらに、偏った考えを修正し、意見を変えた人を攻撃したり責め立てたりしない気持ちも大切です。

誰もが柔軟に成長することができるという視点を持ち、思いやりをもって接することが求められます。

まとめ

確証バイアスや認知的不協和は、私たちの思考を無意識に偏らせ、誤った判断を下す原因となります。

100%信じ切っていたものが偽りだったと気づいたときの衝撃や混乱は非常に大きいものです。

立ち直るには相当な時間がかかることもありますが、私たちはその中で学び、成長することができます。

この世に完璧なものはないことを意識し、また、確証バイアスや認知的不協和の存在を理解し、適切に対処することで、より客観的で冷静な思考ができるようになります。

自然の力を取り入れ、心をリセットすることで、思考の偏りを解消し、バランスの取れた判断ができるよう導いてくれます。

リラックスして心を穏やかに保つことができれば、思考も柔軟になり、さまざまな視点を受け入れやすくなります。

確証バイアスは、時に厄介に感じますが、もし確証バイアスが働かないと、自己肯定感が低下し、自己批判的な思考に陥りやすくなります。

そのため、確証バイアスは心の防衛機能として、自己肯定感を保つために役立つ面もあるのです。

思考をニュートラルに保ち、柔軟で客観的な判断をサポートするために、キャンドルや精油をぜひ活用してみてくださいね。

心をリセットしたいときに、きっとお役に立つはずです。

そして、SNSに触れる時間を減らすことも大切です。

思考の偏りを感じた時に、キャンドルや精油がリセットの一助となることを心から願っています。