最近、人気の精油ブランド11社の製品から、フタル酸エステルが検出されたという衝撃の報告がありました。
この調査は、環境ウェルネスのブログでありコミュニティである「Mamavation」が、環境健康関連ニュースサイト「Environmental Health News」の協力のもと、米国環境保護庁(EPA)認定の研究所によって実施されました。
11社の22種類の精油を調査した結果、すべての精油からフタル酸エステルが検出されたことが確認されました。
フタル酸エステルは、プラスチック製品や合成香料に広く使用される化学物質であり、環境ホルモン(内分泌かく乱物質)としても知られ、健康への悪影響が懸念されています。
フタル酸エステルとは
フタル酸エステルは、プラスチック製品や合成香料、化粧品、医療用品などに広く使用される化学物質の一種で「可塑剤」とも呼ばれます。
プラスチックを柔らかくしたり、合成香料や香水などの香りを長持ちさせたり、化粧品をなめらかにしたり、マニキュアのひび割れ防止などの目的で使用されます。
しかし、これらの化学物質が環境や人体に与える影響が、近年大きな懸念の一因となっています。
フタル酸エステルは、特に内分泌かく乱物質(環境ホルモン)として知られており、ホルモンの働きを乱す可能性があるため、健康への影響が心配されています。
これが長期的に体内に蓄積されると、生殖機能への影響や発達障害のリスクが高まると考えられています。

フタル酸エステルが含まれる製品
フタル酸エステルが含まれる製品には、化粧品、シャンプー、クレンジング、ヘアスプレー、香水、マニキュア、ビニール製のおもちゃ、食品の包装、接着剤、合皮、車のシート、壁紙、カーテン、床材、家具などがあり、私たちの日常生活の中で触れる機会が非常に多いことに驚かされます。
フタル酸エステルは、特に妊婦や小さな子どもへの影響が懸念されており、できるだけ避けるべき成分とされています。
化粧品にフタル酸エステルが含まれている場合、成分表示が義務付けられていますが、香料に含まれている場合は「香料」としか記載されないため、消費者がその有無を判断することが難しいのが現状です。
フタル酸エステルは体内に蓄積しにくく、比較的速やかに排出されるとされています。しかし、「排出される=安全」ではなく、プラスチック製品、食品包装、化粧品、洗剤など日常的に使用するものに含まれるため、絶えず体内に取り込まれる可能性があり、長期的な暴露による健康リスクが指摘されています。
なぜ精油にフタル酸エステルが含まれていたのか
なぜ精油にフタル酸エステルが含まれていたのか、原因はまだ明確に特定されていません。
フタル酸エステルは、香りを長持ちさせる役割を果たす特徴を持っていることから、溶剤として使用された可能性や、プラスチック製容器の成分が溶け出したり、製造過程で意図せず混入したことも考えられます。
今後、メーカーから発表される情報に注視したいところです。
まとめと今後の注意点
この問題は精油だけに限らず、日常生活の中で使用しているさまざまな製品にもフタル酸エステルが使用されている、または混入する可能性があることに気付かされます。
化粧品、シャンプー、香水、芳香剤、洗剤、ビニール製品など、フタル酸エステルはとても身近な製品に含まれており、私たちが知らず知らずのうちに触れていることが多いのです。
身近に潜む危険性を忘れず、今後も合成香料や添加物が私たちの心と体に与える影響を意識し、できるだけリスクを減らす選択をしていくことが大切です。

参考文献:
- MAMAVATION/Essential Oils Tested for Toxic Phthalates — Guide
- Environmental Health News/Phthalates detected in 11 popular brands of essential oils
- FDA/Phthalates in Food Packaging and Food Contact Applications
- FDA/Phthalates in Cosmetics
- プラや化粧品の化学物質が子宮筋腫を大きくする、しくみを解明 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト
- 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会器具・容器包装部会/おもちゃの規格基準の改正並びに器具及び容器包装の規格基準の改正について(案)
- 内閣府食品安全委員会事務局/平成24年度 食品安全確保総合調査-フタル酸エステル類の食品健康影響評価に関する知見の整理、情報収集及び分析