光に透ける白の記憶
光に透けるような白に惹かれて。
ミルクガラスのキャンドルは、唐突なひらめきで生まれたのではなく、振り返れば10年以上も前から、私はあるひとつの「白」に惹かれ続けていたのだと思います。
透明でも不透明でもない、その間にある「白」の物語です。
古代の香油壺と乳香
きっかけは、アロマの歴史を学んでいた頃に出会った一枚の写真でした。
古代エジプト、アラバスター(雪石膏)の香油壺。
それは、乳香(フランキンセンス)の樹脂にもどこか似た乳白色でした。
乳白色の石が光を通し、内側からにじむように輝いている。
どこか温かさを感じさせるその白に、強く心を奪われました。

心に刻まれる白
それ以来、私のまわりには、折に触れて同じ質感の白が姿を見せるようになりました。
その白に魅了され、いつしか消えない残像として心に深く刻まれていきました。
ソイワックスの、光を優しく吸い込むような、温もりのある白。
ヴィンテージのミルクガラスランプが、灯りを入れた瞬間に見せる穏やかな白。
Fire-Kingのアラバスターホワイトが持つ、少し温度を含んだ白。
素材も製法もまったく異なります。
けれどそれらには共通して、はるか昔から人々が灯火を慈しんでいた頃のような、温度のある質感が息づいていました。
雲と同じ原理で生まれる白
このキャンドルは、長い年月をかけて惹かれ続けてきた白が、ようやくかたちになったものです。
目指したのは、昼の自然光にも、夜の灯りにもなじむ、やわらかな乳白色です。
その白を表現するために選んだのが、乳白色のガラスボトルでした。
アンティークのミルクガラスランプを思わせる、ノスタルジックな温もりをまとったソイキャンドルです。
ボトルには、日本の伝統的な製法でつくられた乳白色のガラスを使用しています。
一見すると陶器のようにも見えますが、主原料は一般的なガラスと同じです。
副原料として加えられたフッ化物が、成形時の冷却過程で結晶化し、その微細な結晶が光を乱反射することで、やわらかな乳白色を生み出します。
雲が白く見えるのと同じ原理で生まれる、光を内側に含んだような奥行きのある表情。
火を灯すと、乳白色のボトルが淡いオレンジ色の光をまとい、空間にあたたかな陰影を描きます。
このキャンドルは、植物から抽出された天然精油のみを使用しています。
古代エジプトにおいて、香油は神聖な儀式や特別な場面で用いられる、極めて貴重なものでした。
かつての神聖な香りを守っていた、あのアラバスターの香油壺のイメージを重ねました。

灯して完成する白
キャンドルは、灯してこそ本来の姿を見せます。
内側から広がる光が空間を包むとき、あの古代のアラバスターやヴィンテージのランプと、どこかでつながっている感覚を味わっていただけたら嬉しいです。
長い時間をかけて私を惹きつけてきた「光をまとう白」が、あなたの時間を温かく照らしますように。


