キャンドル瞑想で整える脳脊髄液のリズムと1/fゆらぎ

私たちの体を流れる液体といえば、血液とリンパ液の二つを思い浮かべると思います。

そこにもう一つ、忘れてはならないのが脳と脊髄を満たす「脳脊髄液」です。

この三つの液体が互いに影響し合いながら、体の内側の環境を支えています。

脳脊髄液の仕組みと役割

脳脊髄液は、頭の脳室と呼ばれる場所でつくられ、頭蓋骨と背骨の中を満たしています。

1日で約500ml作られ、1分間に6〜12回のリズムで頭蓋骨から仙骨までを循環し、産生と吸収を繰り返しています。

脳脊髄液が循環するたび、頭蓋骨はわずかに開いたり閉じたりしています。このリズムは「頭蓋仙骨リズム」と呼ばれ、とても小さな動きのため自分で感じ取ることはできません。

脳脊髄液の最も大きな役割は、脳と脊髄を保護すること。
液体に包まれることでクッションのような役割を果たしています。

脳は絹ごし豆腐よりも柔らかい組織で、70~80%が水でできています。
転んで頭をぶつけたり、衝撃を加えても柔らかい脳がつぶれないのは、脳脊髄液が守ってくれているからです。
豆腐の容器の中の水が、豆腐を衝撃から守っているのと同じ仕組みです。

また、脳や脊髄に必要な栄養を運び、不要になった老廃物を回収して排泄する働きもあります。

脳脊髄液のリズム

脳脊髄液は、心臓の鼓動による小さな揺れと、呼吸による大きな圧の変化に連動して流れています。

心臓の鼓動が「さざ波」だとすれば、より大きなリズムを生み出しているのが呼吸です。

私たちの体の奥では、呼吸に合わせて小さな海が満ち引きしているのです。

呼吸が浅くなると、脳脊髄液の循環は停滞しやすくなり、老廃物の排出や栄養の運搬にも影響を及ぼすことがあります。

脳脊髄液の流れが滞ったときに

脳脊髄液の流れが滞ると、頭痛やめまい、耳鳴りなどの不快な症状を引き起こすことがあります。

また、脳の視床下部が圧迫を受けると、自律神経の乱れを起こします。

さらに仙骨のバランスが崩れると、ホルモンバランスにも影響が出ると言われています。

日々の姿勢や呼吸の乱れも循環を妨げる要因になると言われています。体のゆがみを整え、脳脊髄液のスムーズな流れを保つことが大切です。

そのためには、しっかりと横隔膜を動かす深い呼吸を意識してください。

横隔膜の上下運動によって生まれる圧の変化が、脳脊髄液の循環を後押ししてくれます。

3つの流れは響き合っている

脳脊髄液は役目を終えると静脈やリンパを通じて体の外へと排出されます。

血液・リンパ・脳脊髄液はそれぞれ独立したものではなく、互いに影響し合いながら循環しているのです。

脳脊髄液の流れを意識することは大切ですが、それだけでは不十分。
血流やリンパの流れを含めて全体を整えることで、本来のリズムが蘇ります。

そのためには、まず食事や生活リズムを整えること。

加えて、日々のストレッチやヨガ、ピラティスなどで体をしなやかに保ち、ストレスを溜めず、体を冷やさないことも大切です。

1/fゆらぎと脳脊髄液のリズム

自然界には「1/fゆらぎ」と呼ばれる心地よいリズムがあります。

一定のようでわずかに変化するリズムのことで、小川のせせらぎや波の音、木漏れ日、小鳥のさえずり、呼吸や心臓の鼓動にも見られます。

この1/fゆらぎの環境下にいると、脳波の中でもリラックス時に出やすいα波が増えることが報告されています。

脳脊髄液の循環する動きも、呼吸や心拍と重なりながら、1/fゆらぎのリズムを刻んでいると言われています。

呼吸を深くゆったりと整えることが、脳脊髄液のリズムを安定させることにつながります。

脳脊髄液のリズムを整える「キャンドル瞑想」

脳脊髄液のリズムを整えるのに役立つのが、キャンドルの炎を眺める瞑想です。

炎の揺れもまた、自然界のリズムと同じ「1/fゆらぎ」のリズムを持っています。
不規則に揺れる光は呼吸を整え、心を穏やかにしてくれます。

キャンドルを灯し、炎を静かに見つめながら呼吸に意識を向けてみてください。

砂浜に打ち寄せ、引いていく波のように、脳脊髄液が循環するのをイメージします。

呼吸と体内のリズムが調和し、自分の内側に穏やかな海が広がっていく感覚を味わえるはずです。

心を落ち着かせてくれる香りのキャンドルを選んだり、波の音をBGMに重ねると、空間に漂う香りと体内の波のリズムが共鳴し、瞑想の深まりを感じやすくなります。

おわりに

実は以前、脳脊髄液の流れに関するワークを少しだけかじったことがあります。

専門的に深く学んだわけではありませんが、その経験があるからこそ、キャンドル瞑想で呼吸と重ねてイメージすると、よりリアルに感じられるのだと思います。

当時は、すごく興味があってワークに参加したのに、「これは私がやるべき道ではない」と感じてすぐにやめてしまったのですが、10年以上が経ち、今の自分のライフワークにつながっていることに気付きました。
あの時の知識が生きて、点と点が線で結ばれていくのを実感しています。

脳脊髄液は呼吸とともに波打ち、私たちの内側で小さな海のように循環しています。

このリズムは自然界に存在する1/fゆらぎと重なり合い、私たちに安らぎを与えてくれるものです。

キャンドルの炎を見つめ、呼吸に合わせて脳脊髄液の循環をイメージすると、体内の海と外の世界のリズムが響き合います。

人間の体とは不思議なもので、その機能を意識すると、スイッチが入るのです。

知識は浅くとも、存在を「知らない」のと「知っている」のとでは、体験の深さに大きな差が生まれます。

「脳脊髄液」のこと、初めて知ったよ~という方は、これから少し意識しながら過ごしてみてくださいね。

自然界のリズムと身体のリズムを意識的に重ねることで、心も体も調和し、自分本来のリズムを取り戻すことができます。